育休中は、あなたがもらっていたお給料から計算した金額の「育休手当」というお金がもらえます。育休取得で働けなくても、育休手当を支給されることで、生活保障を維持できる制度です。
この記事では、育休手当の金額(概算を自動計算できます)、申請方法、受け取りの条件等、育休手当を受けるために必要な情報をまとめています。
目次
育休手当とは
育休手当(育児休業給付金)とは、育休取得中に働けず収入が途絶えてしまうママ・パパの収入を保障する雇用保険法の制度のことです。育休取得中は一定の条件を満たすことで、この育休手当が支給されます。育休手当は母親だけでなく、父親も取得することができます。
育休手当を計算しよう!
育休手当は以下の計算式で決定されます。
育休開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%(育休開始から6か月経過後は50%)
育休開始時賃金日額=育休取得前の6か月の賃金を180で割った金額(賞与・ボーナスなどの臨時賃金は含みません。)
育休手当は誰でももらえるわけではなく、受け取れる方の条件があります。
詳しくはこちらをご覧ください。・・ 育休手当をもらえる条件は?
※育休手当の上限額と下限額
- 上記支給日額に30をかけた額が447,300円を超える場合・・・
447,300円で計算されます。
- 上記支給日額に30をかけた額が47,100円を下回る場合・・・
47,100円で計算されます。
1か月あたりの育休手当が299,691円(67%の時)、もしくは223,650円(50%の時)を超える場合は、この金額以上のお金は支払われません。
育休手当を自動計算する
直近6か月の給料合計(一か月あたりの税引き前の給料)を入力し、計算ボタンをクリックしてください。
概算の育休手当が表示されます。(給料から単純計算しただけの概算であるため、明確な支給額はハローワークにお尋ねください。)
育休手当はいつ振り込まれるの?
育休手当は原則2か月分ずつ振り込まれます。
支給日は、自治体によって違いがありますが、おおよそハローワークに申請を行った2~5日営業日に振り込まれるそうです。
子どもを産んだ日から、実際に最初の育休手当が振り込まれる日まで、だいたい3か月前後は空きがあるので、生まれるまでにできるだけ生活費はストックしておくようにしましょう。
育休中に働く(賃金を受け取る)場合:育休手当の金額がかわる?
育休手当を受け取っている期間に、賃金を受け取る場合は以下の手順で計算され、支給額が決定します。
- 賃金が育休手当の13%(6カ月経過後は30%)以下・・・
賃金日額 × 支給日数の67%(もしくは50%)を支給
- 賃金が育休手当の13%(6カ月経過後は30%)~80%未満・・・
賃金日額 × 支給日数の80% - 賃金 を差し引いた額を支給
- 賃金が育休手当の80%以上・・・
育休手当なし
メモ
注意
制度上、育休中に賃金が発生することに問題はありませんが、本来の職場での条件やルールは必ず確認したうえで、調整するようにしましょう。
育休中の年金や健康保険料はどうなる?
育休中の社会保険料は、本人も雇用主も免除になります。
育休手当はいつからいつまでもらえるの?
育休手当は、育児休業開始から終了までの期間受け取ることができます。
支払の期間は、育児休業を開始した日から計算した1か月ごとの期間を目安に計算され、原則2か月おきに支給されます。
育休開始6か月を過ぎると、育休手当が67%から50%に減額されますが、育休を継続して取得するあいだは、継続して受け取ることが可能です。
平成29年10月からは、子が1歳半を過ぎても保育園などに入れない等の理由により育休を継続して取得する場合、最大2歳まで育休手当も継続して受け取ることができます。
したがって、育休手当は最大で産後8週間を過ぎた日(産休が終わった日)から、子が2歳になるまで受け取ることが出来ます。
育休手当をもらえる条件は?
育休手当が支給される条件は以下のとおりです。
- 育児休業を開始した日より前の2年間に、雇用保険に入っている期間(11日以上働いたあ月)が12か月以上あること
有期雇用労働者の場合
有期雇用労働者は、上記①の条件に加えて次の条件が必要です。
- 育児休業開始時に、同一の事業主の下で1年以上雇用が継続、かつ、子が1歳6か月までの間(保育園に入れない等の理由があれば最大2歳)に労働契約が更新されないことが明らかでないことが必要。つまり有期雇用労働者の場合は、育児休業の申出があった時点で、育休中の労働契約満了が確実にあるかどうかによって判断されます。
有期労働者ってなに?
パート、アルバイト、契約社員、嘱託など1年契約、6か月契約など契約期間の定めのある働き方のこと
育休手当はパパも受けられる?
育休手当の支給対象者は、男女を問いません。ママが産後8週間休暇をとる「産休中」に、パパも育休という形で休暇を取ることができ、もちろん育休手当も支給されます。
ママの産休が終わったあとも、ママと交代で、もしくはママと一緒にパパも育休を取得することができます。
パパもママも育休を取得する場合は、原則1歳までの育休が無条件で1歳2か月まで延長することになります。パパとパパがうまく交替で育休を取得する場合、育休手当を最大給付率67%のまま12か月取得することができます。
ママが産休中にパパが育休を取得した場合、産休の時期が過ぎてからもパパが育休を取得することができ、かつ支給要件を満たしていれば給付金の対象となります。
育休が受け取れないケース
以下のような場合、支給対象外となり、育休が受け取れないことがあります。
- 育児休業を開始する時点で、育児休業終了後に離職することが予定されている方。
- 同一の子についての2度目以降の育児休業は、原則として支給の対象とならない。(ママが産休中にパパが育休を取得し、同一子の産休終了後、パパが再度育休を取得することは可能)
育休手当の申請方法:申請はどこ?いつ?
育休手当の初回申請は、原則雇い主がハローワークへ提出するようになっています。
育休手当の受給資格確認手続と、初回支給申請手続きを行います。
受給資格確認手続・初回支給申請手続
育休手当を受け取るためには、まず雇い主がハローワークへ指定の書類を提出します。
提出書類
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
- 育児休業給付受給資格確認書・(初回)育児休業給付金支給申請書
提出先
事業所が所在する公共職業安定所(ハローワーク)
提出時期
- 受給資格確認手続きだけ行う場合
初回支給申請を行う日までに提出
- 初回支給申請手続きのみ行う場合
育休開始日から4か月を経過する日の月末までに提出
育児休業給付金支給決定通知書の交付
育休手当の受給資格がある場合、手続きが完了すると、育児休業給付金支給決定通知書が交付されます。
育休手当の初回手続きは、原則育休開始日から4か月後の月末まで。これを過ぎると育休手当を受け取れなくなる可能性があります。育児休業給付金支給決定通知書は、出産した月からだいたい4~5か月後くらいに届くことが多いようです。
育休手当を受給できる証明でもあるので大切に保管しましょう。
育休手当の支給申請手続:2か月に1値度支給申請が必要
育休の初回手続きが終わった後、継続して育休手当を受給するためには、2か月に一度、支給申請を行う必要があります。原則雇い主が提出しますが、被保険者本人が希望する場合、本人が手続きすることも可能です。
どうしても自分で処理をしたい場合は、事業所やハローワークに相談してみましょう。
提出書類
- 育児休業給付金支給申請書
提出先
事業所が所在する公共職業安定所(ハローワーク)
添付書類
賃金台帳や出勤後等、支給申請書の記載内容を確認できる書類
提出時期
ハローワークから交付される「育児休業次回支給申請日指定通知書」の日程までに申請する
育休手当は延長できる?方法は?
育休手当は、基本的に子どもが1歳になるまでの制度ですが、保育園に入れず職場復帰できないケース等の場合、延長することが可能です。
育休手当を延長できる条件
育休手当を延長できる条件は以下の通りです。
- 保育園を申し込んでいたけど、1歳になる地点で入所できなかった
- 子の養育者が死亡・病気・離婚・別居等の理由のため養育できなくなった
- 次の子を妊娠・出産し、産休中である
育休手当の延長事由詳細
育休手当延長の手続き
育休手当を延長する際は、たいていお勤めの職場を経由して手続きを行います。
必要書類
- 育児休業給付金支給申請書
- 延長事由の証明にあたる書類
- 待機児童・・・入所申出書、入所不承諾通知書、育児休業延長申出書、育児休業給付に係る延長事由申出書等、市町村が発行した保育所などの入所保留の通知書等、透明保育所等で保育が行われない証明をできるもの
- 配偶者の死亡・・・世帯全体の情報が記載された住民票、母子健康手帳
- 養育者の心身障害による育児困難・・・病院の診断書、母子手帳
- 離婚等による別居による育児困難・・・世帯全体の情報が記載された住民票、母子健康手帳
- 妊娠中または出産直後で産休中である・・・母子健康手帳
- パパママ育児プラス制度を利用している・・・世帯全体の情報が記載された住民票
育休手当の延長のなかでも、最多であろう理由は「待機児童」。
申し込んでもなかなか認可保育園に入所できず、仕事復帰したくてもできないママはとても多いのが現状。保育園に申し込みをしてもあいにく落選した場合は、すぐ職場に連絡し、保育園にはいれなかった旨を報告しましょう。
代わりになる人材確保とともに、勤め先を経由して、育休と育休手当延長の手続きが必要になります。
育休手当は育休中にもらえる手当!しっかり計画を立てて、有意義に過ごそう。
育休手当は、雇用保険法による育休中の生活保障制度です。育休中で働けないママ・パパの生活費をカバーしてくれます。
子どものとの時間をゆっくり過ごし、なおかつ子育てしながら仕事をつづけられる、とてもありがたい制度です。近年保育所不足、待機児童問題に応じて、最大2歳まで育休・育休手当を受けられるようになりました。
人生のなかでも、なかなかこれだけ長い期間休暇をとることができ、なおかつお金も支給してもらえる時間はあまりありません。
赤ちゃんが寝ている間に、普段できなかったけど育休にできることをしてみるのもいいですね。資格を取得したり、いらないものを売って整理したり、ライフプランを立て直すのにも良い時期です。
人生で数回しかない「育休タイム」。後悔がないように有意義に過ごしましょう。